街を歩いて歴史を読む。地形・道・痕跡から、その土地の物語を掘り起こします。

## 険しい山中に生まれた日本有数の霊場 紀伊半島の奥深い山々を縫って、千年以上にわたって人々が歩き続けた道があります。熊野古道——それは単なる参詣路ではなく、三つの大社を結ぶ巨大な霊場ネットワークの動脈でした。なぜこれほど険しい山中に、日本屈指の宗教的拠点が形成されたのでしょう

山上の聖地が麓の街を生んだ 琵琶湖の西岸、比叡山の麓に広がる坂本の街を歩くと、石垣に囲まれた里坊が静かに並んでいます。これらの建物は、山上の延暦寺で修行する僧侶たちの住まいでした。なぜ山岳仏教の聖地である比叡山の麓に、これほど整然とした門前町が形成されたのでしょうか。その答えは、延暦7年(788)、最澄が比叡山に一乗止観院(後の延暦寺)を創建した時から始まる、山と里の独特な関係にあります。 最澄は