街を歩いて歴史を読む。地形・道・痕跡から、その土地の物語を掘り起こします。

山上の聖地が麓の街を生んだ 琵琶湖の西岸、比叡山の麓に広がる坂本の街を歩くと、石垣に囲まれた里坊が静かに並んでいます。これらの建物は、山上の延暦寺で修行する僧侶たちの住まいでした。なぜ山岳仏教の聖地である比叡山の麓に、これほど整然とした門前町が形成されたのでしょうか。その答えは、延暦7年(788)、最澄が比叡山に一乗止観院(後の延暦寺)を創建した時から始まる、山と里の独特な関係にあります。 最澄は

古代日本の王権は、なぜここで生まれたのか 奈良盆地の南東部、三輪山の麓に広がる纒向遺跡を歩くと、ある疑問が浮かんでくる。なぜこの場所が、弥生時代後期から古墳時代前期にかけて、古代日本の有力な政治的中心地の一つとなったのだろうか。遺跡からは3世紀前半の大型建物群の痕跡が発見され、大型建物群の規模からは、広域から人と物資を集める強大な権力の存在がうかがえる。 纒向遺跡の発掘調査では、北部九州から東海地














