第1章
鉄道の峡谷、御茶ノ水
聖橋(御茶ノ水)
まずは聖橋の上から、御茶ノ水の風景を見てみましょう。足もと深くに神田川が流れ、その谷を、JR中央線・総武線、そして地下鉄が次々と横切っていきます。これほど多くの鉄道が立体的に交差する場所は、東京でも数えるほど。「鉄道の峡谷」とも呼ばれる名所です。
この御茶ノ水に鉄道がやってきたのは、1904年(明治37年)のこと。甲武鉄道——いまの中央線のもとになった私鉄が、都心へ向けて線路をここまで伸ばしてきました。神田川という天然の谷を利用して、鉄道は都心の高台に食い込んだのです。
いま目の前を走る新しい電車たちの足もとには、その明治の鉄道がつくった構造物が、まだ現役で残っています。今日は、それをさがして歩きます。
ちなみに、この聖橋そのものは1927年(昭和2年)の関東大震災復興でつくられたもの。橋の上は昭和、見下ろす先には明治。時代が層になった、恰好の展望台です。
聖橋を下りて、神田川沿いを万世橋の方へ。次に会うのは、日本でいちばん古い鉄道の高架橋です。
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