街を歩いて歴史を読む。地形・道・痕跡から、その土地の物語を掘り起こします。

明智光秀と坂本城——琵琶湖に消えた石垣の都 湖に沈んだ城の記憶 琵琶湖の湖岸に立つと、青い水面の向こうに比叡山が静かにそびえています。この穏やかな風景の足元に、かつて「湖上の名城」と謳われた坂本城が眠っていることを知る人は多くありません。1571年、比叡山延暦寺焼き討ち後に明智光秀が築いた坂本城は、1582年にいったん焼失した後、丹羽長秀によって再び築かれ、1586年ごろに廃城となりました。しかし

山上の聖地が麓の街を生んだ 琵琶湖の西岸、比叡山の麓に広がる坂本の街を歩くと、石垣に囲まれた里坊が静かに並んでいます。これらの建物は、山上の延暦寺で修行する僧侶たちの住まいでした。なぜ山岳仏教の聖地である比叡山の麓に、これほど整然とした門前町が形成されたのでしょうか。その答えは、延暦7年(788)、最澄が比叡山に一乗止観院(後の延暦寺)を創建した時から始まる、山と里の独特な関係にあります。 最澄は