街を歩いて歴史を読む。地形・道・痕跡から、その土地の物語を掘り起こします。

薬箱が運んだ全国制覇の物語 「富山の薬売り」と聞けば、大きな薬箱を背負って全国を歩く行商人の姿を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、この商業システムがなぜ富山で生まれ、なぜ全国に広がったのか。その答えは、富山城下町の街並みに今も刻まれています。一見すると地方の静かな城下町に見える富山ですが、実はここには江戸時代から続く壮大な商業ネットワークの中枢機能の痕跡が残っています。藩の薬業奨励と広域交通網

「薬の富山」はなぜ生まれたのか 富山駅に降り立つと、改札を出てすぐの場所に薬の自動販売機が並んでいます。これは観光客向けの演出ではありません。富山が300年以上にわたって築き上げてきた「薬都」としての歴史が、今もなお街の日常に息づいている証拠なのです。しかし、なぜ富山なのでしょうか。日本各地に薬草は自生し、商業都市も数多くありました。それでも富山だけが「薬の都」と呼ばれるようになったのには、この土